この夏、突然坂川が旅立ってしまい、呆然としながら駆けつけたあと、
呑気な顔で眠っている坂川の傍らで、まだ実感もないままに家族会議が始まりました。
大きな身体と存在の主を失った家族と社員はこの先どうするのか。
翌日から元・現スタッフらが続々と駆けつけて、いろんな話をしました。
顔を見て泣き崩れても、結局思い出話で大笑いをして、
大きな身体でいられる最後の晩も宴のように賑やかでした。

70歳で絵本作家に転向すると宣言し、事務所もあと2年で閉める予定でしたので
少々早まるものの、ひっそりと灯りを消すことになるのかなと思っていたのですが、
葬儀の後、坂川事務所の元スタッフに背中を押してもらい、まだ坂川の気配の残るうちに
最後は賑やかにたくさんの人に来てもらって閉廊するのが
ギャラリーとしても坂川の望む形だと思い、クーギャラリーの最後の企画を立ち上げました。
「フムフムサローネ」は生前、坂川がクーギャラリーでのトークイベントシリーズとして考えていたものです。
家族、スタッフにとっても坂川不在でクーギャラリーを運営する初めての企画です。
もし生きていたとしてもきっとしたであろうことを想像しながら、
元スタッフたちの力も借りてしばらくの間、
坂川栄治と坂川事務所の33年の仕事を振り返って暖簾を下ろそうと思います。

1回目の坂川栄治回顧展では坂川の手から直接生まれたものを主に展示しました。
美術館でいえば入り口あたりです。
今後は装丁、雑誌などジャンル別に展示を予定しております。
そのへんを坂川がゆさゆさと歩き回っているのを思い出しながら楽しんで頂ければ幸いです。

改めまして生前の坂川栄治、坂川事務所とのお付き合いに謹んでお礼申し上げます。
長い間ありがとうございました。あと少しおつきあいください。

坂川家・坂川事務所 一同

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お待ち頂く場合もありますので、ご了承下さい。
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